二、三社でへこたれるな

会社を受験するという行 は非常なエネルギーを要するものです。1-2社受けただけでドッと疲れてしまいます。

面接まで行き、精魂を尽してみたのに不合格となれば、もうフラフラと半病人のようになってしまう人もいます。

とくに30歳前後の方々は、高卒にせよ大卒にせよ、就職にそう苦労した体験がないのが普通ですから、疲労感も大きいわけです。

「もう、私は就職は諦めました。6社に履歴書を出し、うち4社に面接機会を与えられたのですが、結果は不合格でした。どうも、私は会社向きのタイプではないようです……」。

ゲッソリとした顔で訪れて来た、二九歳のK君のことを思い出します。彼は、大卒後、5年ほど鉄綱メーカーに勤務、会社の業績が

低下し先行きに希望のないため、自主的に辞めて浪人となったわけです。それから半年間ほど, ヨーロッパ旅行をしたりして気分一新、さぁ働くぞ、という気になって再就職行動を始めたのでした。ですが、3カ月間に面接を受けること4度,いずれも失敗したので失望しているわけです。そんな彼に対して、

「あなた、29歳でしょう? としたら、二九社ぐらいに応募しないと、就職先は見つからぬものですよ。でも、29社ぐらいの訪問はそう難しくありません。50歳なら50社目に決まるのだ、という決心で探し回らなくてはいけないんですものね……」、私は、厳しくそう申し渡しました。

「ええっ!? あと25社もですかぁ……」K君、ゲッソリしていましたっけ。
しかし、これは仕方がないのです。多くの人々が転職を考え実行しています。今は様々な理由から転職時代なのであり、一人の採用に50人、100人が押掛けましょう。となると、数でこなしてチャンスを待つ、よりないわけですから。

「ですからね。あまり心理的負担を持たぬように、自分は今、会社研究をしている、とお考え下さい。自分の受けようとする会社について徹底的に調べて、相手の会社に行ったらトップや人事マンの人材度を調べる気持になってご覧なさい。こんなチャンスでもないと、会社の内部は見られないんですよ」

「なるほど……」

「それからね、もし、あなたが営業マンなら、断られても断られても、一日50社、100社と訪問して回るわけです。今のあなたは自分を売るセールスマン”と同じでしょう? だったらもっとセールスマンシップを持たなくてはなりませんよ」。

「つまりね、あなたの表情にはどうしても入社したいという気迫が出てないんです。セールスマンが,ウチの商品って無用のものですがいかがでしょうか、って言うのは妙でしょう? 有用だから購入を、と説得しなくてはなりませんよね。まず、面接まで行った場合は絶対に入るんだという決心でキリリとした表情をしてみることです」

といった具合に、私はビシビシと注文を付けました。

結果ですか? むろん、再就職は決まりました。それから1カ月後、100社目に。

 

 

「かしこい転職、上手な離職 – 転職探し87のポイント」本多信一著 総合法令